【急性期・ICU体験談】夫が心筋梗塞で倒れた日|家族にできた3つのことと医療歴を記録しておく大切さ
ある日突然、夫が職場で心筋梗塞で倒れました。
救急搬送され、ICUでの治療が始まりましたが、意識は戻らず——「このまま目を覚まさなかったらどうしよう」そんな不安で胸がいっぱいだった日々。
何もできない自分がもどかしくて、ただ祈ることしかできなかった中でも、私たち家族にしかできないことがありました。
この記事では、ICUで夫を見守った私が感じたこと、そして”家族だからこそできたこと”を体験ベースで綴っています。
同じように、不安な時間の中にいる誰かの心に、そっと寄り添えたら幸いです。

この記事でわかること
- 急性心筋梗塞の発症から救急搬送・ICU入院までの経緯
- ICUで意識不明の家族に「家族だからできること」3つ
- ステントの情報が治療に直結した実体験と医療歴メモの大切さ
- 気管切開の決断を迫られたときのこと
- 当初の見通しと現実のギャップ
命をつないでくれた周囲の人たち|突然の発症と救急搬送
ある日、夫が職場で急に倒れました。診断は「急性心筋梗塞」。
その場に居合わせた職場の方が異変に気づき、すぐに心臓マッサージを始め、近くの施設からAEDを借りてきてくださり、119番通報まで迅速に行ってくださいました。
すぐに救急車が到着し、夫は急性期病院へ搬送。詰まった血管にはカテーテル治療が施され、一命を取り留めました。
その後すぐにICUへ。意識が戻らないまま、人工呼吸器と経鼻栄養の処置が始まりました。
あのとき、夫の命をつないでくださった職場の方々の迅速な対応に、今でも心から感謝しています。

過去のステント情報が治療を左右した|医療歴を記録しておく大切さ

ICUでの治療が始まってすぐ、医師からこう問われました。
「ご主人の体内に留置されているステントの種類はわかりますか?」
実は、夫は私と出会う前にも心筋梗塞でカテーテル治療を受けており、そのときに体内にステントが留置されていました。そのステントの詳細が分からなければ、今回の治療にリスクが伴うというのです。
私は病名やおおよその時期は知っていましたが、「どの医療機関で」「どのドクターに」「どのような治療を受けたか」までは把握していませんでした。頭が真っ白になりました。
すぐに、当時のことを知っていそうな夫の友人に連絡。するとその友人が、病院名・治療時期・担当医の名前まで教えてくれました。病院同士で診療情報提供書をやりとりしていただき、ステントの詳細が明らかになり、ようやく治療が進みました。
このときの教訓:パートナーの医療歴は必ず記録しておく
病名や時期だけでなく、「どこで」「どのドクターに」「どのような治療を受けたか」まで、メモとして残しておくことが、いざというときに命をつなぐカギになります。
記録しておきたい医療情報:
- 病名と発症時期
- 治療を受けた医療機関名
- 担当医師名
- 治療内容(手術・カテーテルなど)
- 体内に留置した医療機器の種類・位置 (ステント・ペースメーカーなど)
- 処方されている薬の名前と用量
元気なうちにメモしておくだけで、万が一のときに医療現場で大きく役立ちます。
気管切開か否か|家族としての決断と奇跡

夫の意識が戻らないまま、入院から2週間が経過したある日、主治医から静かに、しかしはっきりと伝えられました。
「◯日までに自発呼吸が見られなければ、気管切開を行います」
命をつなぐための大切な処置であることは理解していました。それでも私は、どうしても首を縦に振ることができませんでした。
「もう少しだけ、時間をください。まだ、その決断をするのは早すぎる気がするんです」
もし夫が今もどこかで意識を取り戻そうとしているなら——この判断がその一歩を妨げてしまうかもしれない。そんな直感のようなものが、私の背中を押したのです。
そして、その「もう少し」が奇跡を呼びました。
気管切開が予定されていた前日のこと。ICUの看護師長さんが、笑顔でこう伝えてくれました。
「ご主人、自発呼吸が確認できました。人工呼吸器も外せています。意識も、少しずつ戻ってきていますよ」
その瞬間、胸につかえていた不安と張りつめた緊張が、一気にほどけました。
ICUで家族にできた3つのこと

夫がICUで意識不明だったとき、私たち家族ができたことは、ほんの少しでしたが3つありました。
① 好きだった音楽を聴かせること
病室では、夫が好きだったクラシック音楽や、家でよく流れていたJ-POPのピアノアレンジを流していました。耳からの刺激が脳に届くこともあると聞き、CDプレーヤーとヘッドホンを病室に持ち込みました。
音が届いているかどうかはわからないけれど、少しでも安心できるようにと願いを込めて。
② 声をかけること
「大丈夫だよ」「待ってるからね」
時々、子どもたちの声を録音して再生しました。名前を呼ぶと、まぶたが少し動いたような気がすることもありました。ほんの一言でも、私たちの声が届くことを願って。
③ 手や足をそっとさすること
これは当時、自然にやっていたことでした。チューブにつながれていない足を、意識が戻るまでの間、ほとんど毎日、両足を優しくさすっていました。
この頃はまだ拘縮(手足が硬くこわばる状態)は出ていない時期で、皮膚を通した刺激やぬくもりが夫にも伝わっていたと信じています。
看護師さんに教わったわけではなく、「してあげたい」という気持ちが先にありました。
音楽、声、ぬくもり——どれも目に見えないけれど、意識の深いところにきっと届いている。そんな想いで、毎日できることを続けていました。
当初の見通しと現実のギャップ

医師からは「3週間ほどの入院で職場復帰も可能」と言われていました。しかし現実は、想像以上に厳しいものでした。
夫はエクモ(体外式膜型人工肺)によって命を取り留めたものの、頭部のCT検査では脳梗塞の所見が見つかり、「命に別状はないが、後遺症が残る可能性が高い」と説明されました。
当初の見通しとのギャップに、何度も現実を受け止めきれず涙を流しました。それでも「生きていてくれた」ことが、何よりの希望でした。
ICUで見守る時間にできること|家族へのメッセージ

ICUで眠っている家族をそばで見守る日々。長く感じる時間の中で、「自分には何もできない」と思ってしまうこともあるかもしれません。
でも、やさしく声をかけること。好きだった音楽を静かに流すこと。手や足をそっとさすること——どれも、身近な人だからこそできる、心のケアだと思っています。
そしてもうひとつ、いざというときに備えておきたいことがあります。日ごろから医療に関する情報を少しずつ整理しておくことです。
ICUでの治療が始まってからでは間に合わない場合もあるため、まだ元気な今のうちに備えておけると安心です。
今のうちに備えておきたいチェックリスト
✅ パートナー・家族の病名と発症時期をメモしておく
✅ 治療を受けた医療機関名・担当医師名を記録しておく
✅ 体内に留置した医療機器(ステント・ペースメーカーなど)の種類を把握しておく
✅ 処方されている薬の名前・用量を書き留めておく
✅ かかりつけ医・専門医の連絡先を家族で共有しておく
✅ 緊急連絡先リストを作っておく (親族・友人・職場など、いざというとき連絡できる人)
✅ AEDの場所を日頃から確認しておく (職場・学校・近隣の公共施設など)
さいごに

この記事では、急性期の前半——夫が心筋梗塞で突然倒れ、ICUで意識が戻らないまま過ごした日々についてお伝えしました。
「何もできない」と思っていた時間の中にも、家族だからこそできることがありました。
声をかけること。音楽を聴かせること。手や足をさすること。
自発呼吸の兆しが見えたあの瞬間は、医療の力だけではなく、「きっとつながっている」と信じて関わり続けた家族のぬくもりが生んだ、小さな奇跡だったのかもしれません。
次の記事では、急性期の後半——意識が戻ったあとの喜びと戸惑い、胃ろうの決断、回復期病院がなかなか見つからなかったことについてお伝えします。
同じように不安の中で大切な人を支えている方の、小さな支えになれたら幸いです。
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