在宅介護は、日常の暮らしの中に突然起こるトラブルと隣り合わせです。

「断水」「停電」「エレベーター停止」「デイサービスからの急な呼び出し」——わが家でも予想していなかった場面で困ったことが何度もありました。

とくに要介護の家族と暮らしていると、「もし災害が起きたら、どうやって避難するの?」という不安が常につきまといます。

この記事では、実体験をもとに「在宅介護で直面した4つのトラブル」と「そのときに学んだ備え方」をご紹介します。これから備えを考えている方にとって、少しでもヒントになれば嬉しいです。

この記事でわかること

  • 在宅介護中に実際に起きた4つのトラブルと対処法
  • 断水・停電・エレベーター停止それぞれの備え方
  • 電動介護機器の停電時対応で知っておきたいこと
  • 高層階での在宅介護と災害避難の現実
  • 「避難行動要支援者支援制度」とは何か

トラブル①|断水で訪問サービスの日に介護がストップした

マンションに住んでいると、設備点検などで年に数回断水が行われることがあります。普段の生活では「ちょっと不便」で済む断水も、在宅介護中となると話は別です。

わが家で起きたこと:

ある日、マンションの掲示板に「断水のお知らせ」が貼られていました。最初は「まだ先の話」と気にしていなかったのですが、よく見ると2日間連続・1日あたり6時間以上の断水。しかもその時間帯に、ちょうど訪問診療と訪問介護の予定が入っていたのです。

手洗いができなければ感染予防にも影響しますし、清拭や処置の片づけにも水は欠かせません。慌ててペットボトルの水を買いに行きましたが、まとめ買いした水を高層階まで運ぶのはかなりの重労働でした。

「水がないだけで、こんなにも介護が不自由になるのか」と痛感した出来事でした。

断水への備え方:

それ以来、断水のお知らせを見つけたら早めに以下の準備をするようにしています。

  • ペットボトルの水を数本多めにストックしておく
  • 断水前日に浴槽へ水をためておく(トイレ・雑用水として活用)
  • 洗面器やバケツにも水をためておく
  • 断水時間と訪問サービスのスケジュールを照らし合わせ、必要に応じて時間変更を相談する

普段何気なく使っている水が、在宅介護では大切なライフラインのひとつです。掲示板のお知らせは必ずチェックするようになりました。

トラブル②|エレベーター停止で介護スケジュールが崩れた

点検中のエレベーターのアイコン

車椅子を利用している方にとって、エレベーターは毎日の生活に欠かせない存在です。それが使えなくなるだけで、在宅介護のスケジュール全体が崩れることがあります。

わが家で起きたこと:

私たちは高層マンションの上層階に暮らしています。車椅子の夫にとって、階段での移動はまったく現実的ではありません。

私たちのマンションではエレベーターの点検が毎月のようにあり、ときには部品交換などで長時間停止することもあります。停止時間が訪問介護・訪問診療・デイサービスの送迎と重なると、大きな影響が出ます。

エレベーター停止への備え方:

  • マンションの掲示板を定期的にチェックする習慣をつける
  • 点検予定を発見したらすぐに介護スケジュールと照らし合わせる
  • デイサービス・訪問介護・訪問診療に早めに連絡して時間調整を相談する

幸い、これまで送り出しができなかったことはありません。介護事業所の方々が事情を理解してくださり、柔軟に対応してくださるおかげで何度も助けられています。「早めに連絡する」ことが、最大の備えだと感じています。

トラブル③|デイサービスからの急な呼び出しとオートロックの壁

デイサービス送迎のイラスト

体調不良による早退で、デイサービスから急に呼び出されることは実際によくあることです。そんなとき、迎え入れる側も急いで準備を整える必要があり、想像以上に慌ただしい場面になります。

わが家で起きたこと:

ある夏の日、デイサービス先から突然電話がかかってきました。「ご主人が少し熱っぽいので、早めにお迎えをお願いできますか?」とのこと。

私は外出中で、すぐに帰宅の準備をしましたが、交通の混雑もあって到着が遅れてしまいました。体調が優れない夫と付き添ってくださったデイサービスの職員の方が、オートロックの解除が間に合わず、夏の蒸し暑い中でしばらく待つことに…。

「本当に申し訳なかった」という気持ちは、今でも胸に残っています。

急な呼び出しへの備え方:

この出来事をきっかけに、以下のことを意識するようになりました。

  • 外出中もスマートフォンをすぐ手に取れる場所に置く
  • 移動手段に余裕をもたせておく(電車より徒歩圏内の外出を優先するなど)
  • 「デイサービス中は急な連絡があるかもしれない」という前提で行動する
  • 長時間の外出が必要な場合は、代わりに対応できる人を事前に確認しておく

「デイサービスに預けているから安心」ではなく、いつでも連絡が取れ、すぐに帰れる体制を整えておくことが大切だと実感しました。

トラブル④|停電で電動リフトが動かなくなった

電動介護機器はとても頼りになる存在ですが、「電気が止まったらどうなるのか?」という視点は、実際にその場面になってみないと気づきにくいものです。

わが家で起きたこと:

わが家では電動リフトと介護用ウォーターベッドを使っていました。あるとき短時間の停電が起こり、「リフトもベッドも動かない」という事実に直面しました。

もし使用中に長時間停電してしまったら? 特にリフトに乗っている途中や、ベッドが座位の状態のままだった場合、どうやって対応すればいいのか——そう思うと不安が一気に押し寄せました。

業者から教わった停電時の対応:

停電に備えて、リフトと介護用ベッドの業者さんに緊急時の対応方法を事前に教えていただきました。

  • ベッドを手動でフラットな状態に戻す方法
  • ベッド裏側の金具を外す場所と手順
  • 電動リフトの手動操作レバーの位置と使い方

「道具がある」だけでは不十分で、「どう動かすか」を知っているかどうかで対応力が大きく変わると実感しました。実際に手を動かして練習しておくことで、少しだけ気持ちの余裕も生まれました。

停電への備え方:

  • 電動介護機器の業者に緊急時の手動操作方法を事前に確認しておく
  • 実際に手動操作を一度試しておく
  • 停電時に必要な懐中電灯・モバイルバッテリーを手の届く場所に置いておく
  • 介護機器の取扱説明書を手元に保管しておく

災害時の避難をどうするか|「避難行動要支援者支援制度」への登録

在宅介護をしていると、「もし災害が起きたらどうやって避難するのか」という不安が常につきまといます。特に高層階のマンションでは、移動そのものが大きなハードルになります。

わが家の現実:

私たちは高層マンションの上層階に暮らしています。地震や台風でエレベーターが止まってしまったら、車椅子の夫と一緒に階段を降りることは現実的に不可能です。

さらにわが家には小学生の子どもが2人います。子どもたちを連れて避難するだけでも精一杯な状況で、夫を含めた4人でどうやって動けるのか——想像するたびに胸が苦しくなりました。

「避難行動要支援者支援制度」への登録:

そこで市役所に相談し、「避難行動要支援者支援制度」への登録を行いました。

この制度は、「災害時に支援が必要な人がこの地域に住んでいます」と自治体にあらかじめ伝えておくものです。いざというとき、自治体や地域の支援者が手を差し伸べやすくなるよう、情報を共有する仕組みになっています。

もちろん、登録すれば必ず誰かが助けに来てくれるとは限りません。でも「私たち家族の存在を知ってもらえている」という安心感は、大きな心の支えになっています。

登録や相談は、お住まいの市役所で受け付けています。不安を感じている方は、早めに一度問い合わせてみることをおすすめします。

▼制度の詳細はこちら
避難行動要支援者名簿に関する条例(一般財団法人 地方自治研究機構)

4つのトラブルから学んだ備えのチェックリスト

【断水への備え】

✅ マンションの掲示板を定期的にチェックする

✅ ペットボトルの水を数本多めにストックしておく

✅ 断水前日に浴槽・洗面器・バケツに水をためておく

✅ 断水時間と訪問サービスが重なる場合は早めに時間変更を相談する

【エレベーター停止への備え】

✅ 点検予定を発見したらすぐにスケジュールと照らし合わせる

✅ デイサービス・訪問介護・訪問診療に早めに連絡して調整を依頼する

【急な呼び出しへの備え】

✅ 外出中もスマートフォンをすぐ取れる場所に置く

✅ 移動手段に余裕をもたせておく

✅ 代わりに対応できる人を事前に確認しておく

【停電への備え】

✅ 電動介護機器の業者に手動操作の方法を事前に確認する

✅ 実際に手動操作を一度試しておく

✅ 懐中電灯・モバイルバッテリーを手の届く場所に置いておく

【災害・避難への備え】

✅ 「避難行動要支援者支援制度」への登録を市役所に相談する

✅ 近隣の方や支援者と日頃からつながりを持っておく

✅ 家族で避難方法・連絡手段を話し合っておく

さいごに

在宅介護に「絶対の安心」はありません。でも、「もし起きたらどうするか」を日頃から考えておくことが、いざというときの心の支えになります。

私が在宅介護の中で特に大切だと感じた3つのことをお伝えします。

① 一人で抱え込まないこと 困ったことがあれば、介護事業所・市役所・ケアマネさんに相談する。「言ってみてよかった」と思える場面が必ずあります。

② 緊急時に連絡・相談できる相手を決めておくこと 誰に連絡するか、どう対応するかを事前に決めておくだけで、いざというときの行動が変わります。

③ 小さな異変や気づきを見逃さず、声に出すこと 「なんか変だな」と思ったら早めに声に出す。それが大きなトラブルを防ぐことにつながります。

この記事が、在宅介護をされている方の備えのヒントになれば嬉しいです。

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