在宅で嚥下リハビリを行う中で、強く感じたことがあります。

「やり方」を学ぶことも大切だけれど、道具と環境が整っているかどうかで、安全性も介助のしやすさも、全然違う——ということです。

同じ一口でも、とろみの状態・姿勢・口腔内のコンディションによって、安全に飲み込めるかどうかが変わります。そして、それを毎日「同じように再現できる環境」を作ることが、在宅嚥下ケアの要だと感じました。

この記事では、実際に在宅で使ってよかった嚥下ケアに関わるアイテムと工夫をまとめています。

※本記事は以下のような状況の家族の体験をもとにしています

  • 急性心筋梗塞後、低酸素脳症・脳梗塞を発症
  • 要介護4/胃ろう/全介助
  • 失語症あり(わずかに発声あり)

とろみ剤|在宅でも「同じ状態を再現する」ための基本

入院中にすすめられたのが、とろみ剤の使用でした。

退院後も、病院で使っていたスルーソフトQをそのまま使用しています。

スルーソフトQを使い続けた理由

  • ダマになりにくく混ざりやすい
  • 病院で使用していたため、同じ基準で使える
  • 「この飲み物に何g」という目安がわかりやすい

時間が経つと固まってくるため、作り置きには向かず、その都度準備する形になります。それでも使い続けているのは、入院中と同じ環境を自宅でも再現できる安心感があったためです。

とろみの濃さは少しの違いで安全性に関わります。同じものを同じ分量で使えることは、在宅では大きなメリットだと感じています。


スルーソフトQ 770g 送料無料

飲み物の選び方|とろみとの相性を知る

在宅では、次のような飲み物を試してきました。

  • リンゴジュース
  • ポカリ
  • オレンジジュース
  • パインジュース
  • アイスコーヒー

実際に使ってみると、飲み物によってとろみのつき方が変わることを実感しました。

特にオレンジジュースは、酸味の影響かとろみが安定しにくく、扱いにくさを感じる場面がありました。実際に夫が急変したこともあり、それ以来オレンジジュースは使わないようにしています。

一方で、リンゴジュース・ポカリ・水などは比較的安定しやすく、扱いやすい印象です。言語聴覚士さんからも「すっきりした飲み物の方がとろみとの相性がいい」と教えていただき、実際の感覚としても納得できました。

とろみの相性まとめ:

飲み物とろみの安定性備考
🟢 安定しやすい最も扱いやすい
リンゴジュース🟢 安定しやすい甘みがあり好まれやすい
ポカリ🟢 比較的安定スポーツ飲料は相性がよい
アイスコーヒー🟡 やや注意状態をよく確認する
オレンジジュース🔴 不安定になりやすい酸味でとろみが崩れやすい
パインジュース🔴 不安定になりやすい同上

口腔ケアジェル|「食べられない時期」でもできるケア

嚥下リハと並行して、口腔ケアも行っていました。

使用していたのは、レモン風味やコーヒー風味のマウスピュア 口腔ケアジェルです。スポンジブラシにつけて使うことで、口の中を保湿しやすく、ケアがスムーズに進みます。

何より、風味による刺激を感じられることが大切だと感じていました。食べたり飲んだりできない状態でも、「口の中で何かを感じる」という体験は、夫の表情をわずかに和らげてくれました。

「食べられない時期でも、口のケアはできる」——この意識が、在宅嚥下ケアを続けるうえでの支えになっていました。


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吸引歯ブラシ|むせを防ぎながらケアできる安心感

吸引機をレンタルしていたため、吸引歯ブラシも取り入れました。

  • 水分を吸引しながらケアできる
  • むせにくい
  • 誤嚥の不安が減る

訪問看護師さんからもすすめていただいたアイテムで、在宅での口腔ケアに不安がある方の選択肢のひとつとして取り入れやすいと思います。


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チューブ洗浄ブラシ|清潔を保つための工夫

在宅では、チューブ内の清掃も必要でした。使用している中で内部に汚れが溜まっているのが気になることがあり、ロングタイプのブラシを使うようになりました。

奥までしっかり届くため、洗浄しやすく、清潔を保ちやすい点で日々の管理が楽になりました。

「これがあれば安心」と感じるアイテムはいくつかありましたが、このブラシもそのひとつです。小さな工夫の積み重ねが、在宅介護では大きな差につながると実感しています。


EKIND パイプクリーニングブラシは 1.5メートルの柔軟なナイロンブラシ 食品グレードの304ステンレススチールで作られており 給餌チューブや酒造管さまざまなパイプの清掃に適しており (ばね形状)

スライディングシート|ポジショニングを支えるアイテム

嚥下ケアでは、姿勢を整えることが安全性に直結します。

ただ、体格が大きいこともあり、ベッド上で位置を整える作業は介助する側にとって大きな負担でした。腰への負担を感じながら無理に動かすことで、正しいポジションを取れないこともありました。

そこで使い始めたのがスライディングシートです。体を上方向に移動させたり、ベッド上の位置を整えたりする際に、少ない力で動かせるため、介助する側の負担軽減にもつながりました。

「こんなに楽になるなら、もっと早く使えばよかった」と感じた道具のひとつです。


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スライディンググローブ|細かい調整に便利

スライディンググローブは、細かい位置調整の場面で活躍しました。

少しだけ体の位置をずらしたいとき、体の下に手を入れて調整する際に使いやすく、日常的に取り入れやすいアイテムです。シートほど大げさではなく、さっと使えるのが便利でした。


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まとめ|在宅嚥下ケアは「再現できる環境づくり」

在宅での嚥下ケアを振り返ると、特別な技術よりも、同じ状態を安定して作り続けられることが大切だと感じました。

  • とろみを毎回安定させる
  • 口腔内の状態を整えてからケアを始める
  • 姿勢をしっかり支えてから口に運ぶ

この3つが整うことで、無理なく継続できるようになります。

道具はあくまで手段ですが、「これがあるから安心して始められる」という感覚は、在宅介護を続けるうえで確実に支えになりました。

そして、この在宅での積み重ねが、その後の嚥下評価入院につながる大切な土台になっていました。

在宅での嚥下リハの流れはこちら → [関連記事:在宅介護での嚥下リハビリ体験|安全に口から食べる可能性を探る日々

その先の体験はこちら → [関連記事:嚥下評価入院で口から食べる喜びを取り戻す|胃ろう生活からの経口摂取体験談

[関連記事:心筋梗塞後の維持期在宅介護|1日のタイムスケジュール・費用・デイサービス活用の実体験

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