重度障害・胃ろうありで退院先を探したとき、10箇所以上の施設に断られました。

「うちでは無理です」という言葉を何度聞いたかわかりません。期日だけが迫るなか、行き先が決まらない——あの時間は、今でも思い出したくない記憶です。

夫が急性心筋梗塞・心停止のあとに脳梗塞も起こし、全介助・寝たきり・失語症・胃ろうという状態になりました。夫はその後、以下のように生活の場を移りました。

急性期病院 → 回復期リハビリ病院 → 在宅介護 → 急変による再入院 → 介護付き有料老人ホーム

それぞれの段階で、施設探しや制度の壁にぶつかりました。同じ状況で行き詰まっている方に、この実体験が少しでも役立てば、と思い書いています。

回復期リハビリ病院に断られ続けた|胃ろう・重度障害での転院先探し

急性期病院に入院中、回復期リハビリへの話は出ませんでした。
胃ろうを造設したら施設へ、というのが一般的な流れのようでした。

それでも私は、夫にリハビリを受けてほしかった。
相談員さんにその思いを伝え、回復期リハビリができる受け入れ先を探していただけることになりました。

胃ろう=施設という考え方が一般的だと、このとき初めて知りました。でも私は、あきらめたくありませんでした。

ところが、転院先を探す作業が始まったとたん、想定外の壁にぶつかりました。
相談員さんが地域の回復期リハビリ病院に問い合わせてくれたのですが、次々と断られました。

  • 全介助が必要(自分では何もできない状態)
  • 寝たきりで経管栄養(胃ろう)を使用
  • 失語症があり、コミュニケーションが難しい
  • 医療依存度が高く、常時医療的ケアが必要
相談員さん
相談員さん
このような状態の患者さんを受け入れられるリハビリ病院は、地域によってはとても少ないんです。

近隣のリハビリ病院をすべて当たりましたが、受け入れ先はひとつも見つかりませんでした。
相談員さんが範囲を広げて探してくださることになりましたが、ここから先は長い戦いになると覚悟しました。

胃ろうは、できることなら避けたかった選択でした。
ぎりぎりまで待ってもらいましたが、経鼻栄養のチューブがついていると受け入れ先がないと言われました。胃ろうにすれば受け入れ先が見つかるかもしれない——そう聞いて、決断しました。

最終的に、少し遠方の回復期リハビリ病院に転院することができました。
通いやすい場所ではありませんでしたが、受け入れてもらえる場所があるというだけで、十分ありがたいことでした。

リハビリ病院の退院期限が迫ってきた日

転院先でのリハビリが始まり、面会のたびに少しずつ変化していく夫の姿を見守りながら過ごしていました。

入院から数ヶ月が経ったころ、担当の相談員さんから声をかけられました。

相談員さん
相談員さん
回復期リハビリ病棟には入院できる上限の日数があります。そろそろ次のことを考え始めてもらえますか。

脳血管疾患の場合、上限は150日。その日が来ることはわかっていました。でも、いざ「そろそろ」と言われると、言葉が出なくなりました。

夫はまだこんなに不安定なのに、次はどこへ行けばいいんだろう。

私はもともと、回復期のリハビリが終わったら在宅介護に戻ると決めていました。
制度の力も借りながら、家族で支えていこうと考えていたからです。

在宅介護を選んだ理由

私が在宅介護を選んだのは、子どもたちのためでした。

当時はコロナ禍で、施設によっては面会そのものが制限されていた時期でした。
子どもたちがお父さんと顔を合わせられる機会を少しでも残してあげたい——それが、在宅を選んだ一番大きな理由でした。

完璧な介護はできないとわかっていました。それでも、家族としてそばにいることが夫にとっても意味があると信じていました。

障害福祉サービスを活用しながら在宅介護を続けていこうと考えていました。
そのひとつとして注目したのが、重度訪問介護という制度でした。

知らなかった制度の落とし穴|重度訪問介護が使えなかった話

重度訪問介護は、重度の肢体不自由がある方が対象で、入浴・排せつ・家事援助・外出時の移動介護まで幅広くカバーできる制度です。この制度を活用しながら子育てと介護を両立している方の話を聞き、私にもできるかもしれないと思っていました。

しかし、実際に申請しようとしたとき、使えないとわかりました。

制度を知って、希望を持っていただけに本当にショックでした。
介護認定の申請タイミングについて、もっと早く専門家に相談しておけばよかったと今でも後悔しています。

障害福祉サービスは、介護保険との兼ね合いや申請のタイミングによって使えなくなる場合があります。在宅介護を検討している段階で、相談支援専門員や福祉窓口に「どのタイミングで何を申請すべきか」を確認することを強くおすすめします。

急変後、期日付きで施設を探すことになった

在宅介護を続けていた中で、夫の体調が急変しました。救急搬送され、緊急入院となりました。
治療のおかげで病状は落ち着きましたが、このとき私は在宅介護の限界を感じていました。

施設への入居を考え始めましたが、ここでも壁にぶつかりました。
老人保健施設(老健)に問い合わせたところ、断られました。老健は定額制のため、薬が多い入所者は施設側の負担が増える仕組みになっています。服薬している薬が多く薬代が高額になることを理由に、「難しい」と言われました。

そして退院の期日が迫るなか、「期日付きで施設を探す」という、さらに過酷な状況が始まりました。

「○月○日までに退院先を決めてください」と言われたとき、頭の中が真っ白になりました。

探した施設の数は、10箇所を超えました。問い合わせるたびに返ってくる言葉は、同じでした。

「うちでは無理です」

  • 医療依存度が高い
  • 胃ろうの管理が必要
  • 常時医療的ケアへの対応が難しい
こんなに探しても見つからないのか、と本当に追い詰められました。期日だけが近づいてくるのに、行き先が決まらない。あの時間は、今でも思い出したくない記憶です。

あのとき、「医療依存度が高い方の受け入れに対応できる施設だけを専門に探せる窓口」を知っていたら、もっと早く動けたと思っています。

全国の介護施設・老人ホームを無料で相談できる窓口があります。医療ケアが必要な方の施設探しにも対応しています。

いい介護の公式サイトを見る

最終的に受け入れてくれたのは、介護付き有料老人ホームでした。医療体制が整っており、夫のような状態でも対応できるとのことで、ようやく入居が決まりました。

医療依存度が高い家族の施設探しで知ったこと

10箇所以上に問い合わせてわかったのは、「断られる施設に何度電話しても、答えは変わらない」ということでした。

胃ろう・たんの吸引・服薬管理など、個別の医療ケアへの対応可否は、一般的な施設検索サイトでは絞り込みが難しく、電話してみて初めてわかることがほとんどです。最初から「医療依存度が高い方の相談を受け付けている窓口」に状況を伝えて動いていれば、あれほど一人で消耗することはなかったと思っています。

全国の介護施設・老人ホームを無料で相談できる窓口があります。医療ケアが必要な方の施設探しにも対応しています。

いい介護の公式サイトを見る

施設見学の際に確認しておきたいこと

  • 胃ろう・たん吸引など必要な医療ケアに対応しているか
  • 看護師が常駐しているか(特に夜間)
  • 夜間の急変時の対応体制はどうなっているか
  • 医療依存度が高い方の受け入れ実績があるか

電話だけではわかりにくいこともあります。施設見学の際に、具体的な状況を伝えて一つひとつ確認することをおすすめします。

介護付き有料老人ホームは費用が高いイメージがありますが、負担割合や施設によって大きく異なります。気になる施設には、具体的な費用を直接確認することをおすすめします。

まとめ|施設探しは、一人でやらなくていい

あの時間を振り返ると、一番辛かったのは「答えが見つからないまま、期日だけが近づいてくる」ことでした。

何度断られても次の施設に電話をかけ続ける。家族のためにできることをやっている、でも結果が出ない。そのしんどさは、経験した人にしかわかりません。

今、同じ場所にいるなら、まずひとつだけお伝えしたいことがあります。

一人で全部抱え込まないでください。

医療依存度が高い方の施設探しは、一般的な検索や電話だけでは限界があります。専門の窓口に状況を伝えるだけで、自分では探せなかった施設が見つかることがあります。

この記事が、次の一歩を踏み出すきっかけになれば嬉しいです。

全国の介護施設・老人ホームを無料で相談できる窓口があります。医療ケアが必要な方の施設探しにも対応しています。

いい介護の公式サイトを見る