はじめに:胃ろう生活で悩む日々

夫は急性期のリハビリでゼリー食を口にできていましたが、回復期に入ると徐々に食べられなくなり、維持期ではほぼ1年間、経口摂取ができない状態が続きました。

胃ろうで栄養を補う生活が日常になり、「口から食べることはもう無理かもしれない」と家族も私も諦めかけていました。

そんな中、夫が小さな声で「飲みたい」と言ったのです。この一言が、私たちにとって大きな転機となりました。

私たちは初めて「嚥下評価入院」という制度を知り、再び口から食べる可能性を探ることにしました。

この記事は、以下のような状態の家族を支える中での実体験です。

  • 要介護4
  • 胃ろうによる栄養管理
  • 重度の四肢麻痺あり(全介助)
  • 身体障害者手帳1級
  • リクライニング・ティルト式車椅子を使用
  • 失語症・構音障害あり(声は少し出る/口の動きは日によって読み取れる)
  • 現在は施設で生活しており、日常的な介助はスタッフの方に支えていただいています

医療的にも生活面でも介助量が多く、「口から食べることは難しい」と言われやすい状態でした。

それでも今回の嚥下評価入院を通して、わずかではありますが経口摂取の可能性を見出すことができました。

在宅ではなく施設での生活でも、口から摂取できる可能性があると感じた体験です。

嚥下評価入院とは?

嚥下評価入院は、専門の医療機関で「安全に口から食べられるか」を評価する短期入院です。通常1週間ほどで、言語聴覚士や医師が中心となり、飲み込みの能力や安全性をチェックします。

この入院では、ただ単に「できる・できない」を確認するだけでなく、本人や家族が安全に食べる方法を学び、生活に取り入れることが目的です。誤嚥のリスクがある場合でも、評価とサポート次第で口から摂れる可能性があります。

入院前に準備したこと

私たちはまず書籍やインターネットで情報を集めました。特に参考になったのは、「口から食べる幸せを守る」「口から食べる幸せをサポートする包括的スキル」という書籍です。


書籍を通じて、胃ろうでも「状態によっては再び口から摂取できる可能性がある」と知り、前向きに行動できました。

その後、県内で嚥下評価を行っている医療機関を調べ、外来予約を行いました。
採血やレントゲンなどで体調を確認し、医師から入院の説明を受け、日程を決めました。

入院中の体験と学び

入院中は、言語聴覚士さんを中心に、飲み込みの検査や食事方法の指導が行われました。

中でも印象的だったのは嚥下造影検査です。バリウムを混ぜた模擬食品を摂取し、X線透視で飲み込みの様子を確認します。これにより、安全に摂取できるとろみの濃さや一口の量を具体的に知ることができました。

面会の際には、家族も実際のケア方法を学べました。姿勢の整え方、スプーンの使い方や角度、一口量の調整、とろみの濃さの確認など、自己流では難しいことも専門的に教わることができ、とても助かりました。

とろみ剤とスプーン選び

入院中にすすめられたのは、とろみ剤の使用です。
私たちは退院後も、病院で使っていたキッセイ薬品工業 スルーソフトQを使用しています。

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飲み物によって濃度が変わることや、時間が経つととろみが弱まることがあり、口に運ぶ前にしっかり混ぜることが大切です。混ぜが不十分だとむせてしまい、体調を崩すこともあります。

また、スプーン選びも重要です。
家庭で使っていたスプーンは素材や形状によって飲みやすさが異なりました。

入院中に試したのは、操作しやすく量の調整がしやすいWillassist K+スプーンと、柔らかく口当たりが良いシリコンスプーン(小サイズ)です。


夫には柔らかいシリコンスプーンの方が合っていました。

入院後の変化

約1週間の入院を経て、夫はとろみのついたジュースを数口飲めるようになりました。

量としてはごくわずかです。それでも「口から摂取できた」という事実は、私たち家族にとって大きな一歩でした。

これまで「もう難しいかもしれない」と感じていたからこそ、小さな変化がとても大きく感じられました。

退院後は、子どもたちと一緒にパパが好きそうな飲み物を買いに行く機会も増えました。

「何が飲みたい?」と本人に聞いてみたり、同じ飲み物を用意して隣で一緒に飲んでみたり。ほんの少しでも同じ時間を共有できることに、以前にはなかった喜びを感じています。

食べる・飲むという行為は、単なる栄養補給ではなく、家族との時間や気持ちのつながりにも関わっているのだと、あらためて実感しました。

嚥下評価入院は、できること・できないことを見極める場であると同時に、「どうすればできるか」を一緒に探していく機会でもあります。もし同じように悩んでいる方がいれば、一度評価を受けてみることで、新しい可能性が見えてくるかもしれません。

嚥下評価入院を検討している方へ

嚥下障害があると「無理をしない」という選択が多くなります。

しかし、安全に評価・サポートを受けることで、口から摂取できる可能性があります。家族も食事ケアを学べるため、退院後の生活が格段に楽になります。

悩んでいる方は、まず一度評価入院について相談してみることをおすすめします。新しい可能性を知るきっかけになります。

まとめ

嚥下評価入院を通して学べること:

  1. 安全に飲み込めるかの評価
  2. 適切な食事方法の指導
  3. 家族への具体的ケア指導

胃ろう生活の中で口から食べることを諦めかけていた私たちですが、評価入院を通して少しずつ「口から食べる喜び」を取り戻せました。同じように悩んでいる方にとって、この体験が希望のヒントになれば幸いです。

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