「介護認定を持っていれば、転院先が見つかりやすくなるかもしれません」

入院中のケースワーカーさんからそう勧められ、夫の介護保険を申請しました。当時は「専門家が勧めてくれるなら」と素直に従いましたが、のちにこの申請が思わぬ制限につながることを知りました。

介護保険を申請したことで、外来リハビリが受けられなくなったのです。

さらに、64歳以下なら使えたはずの障害福祉サービス「重度訪問介護」も、介護認定を受けていることで一部しか申請できないとわかりました。

「申請しなければよかったかも…」という後悔が生まれたのは、在宅介護が始まってからのことでした。

この記事では、介護保険の申請タイミングで経験した後悔と、これから申請を考えている方に知っておいてほしいことを実体験とともに書き残します。

※この記事はわが家の実体験をもとにしています。制度の詳細や適用条件はお住まいの自治体・状況によって異なります。必ず窓口にご確認ください。

この記事でわかること

  • 介護保険を申請したことで受けられなくなった制度とは
  • 64歳以下が介護認定を受ける前に知っておきたいこと
  • 介護保険・障害福祉・医療保険の優先関係
  • 申請タイミングを考えるときに確認したいポイント

介護認定を申請した経緯|転院のために勧められた

夫が急性心筋梗塞で倒れたのは、ある日突然のことでした。奇跡的に命は助かりましたが、意識が戻るまでに2週間以上かかりました。

入院中は経鼻栄養での対応となり、回復期リハビリの病院への転院も難航していました。「胃ろうにすれば受け入れてもらいやすいかもしれません」という提案を受け、悩みに悩みました。

胃ろうにすることで口が自由になり、言葉の練習・食べる練習もできると聞き、前向きに考えることにしました。しかし受け入れてくれる病院がなかなか見つからず、「市内は全滅です」と言われたときは途方に暮れました。

そんなとき、ケースワーカーさんから言われたのがこの言葉でした。

「介護認定を持っていれば、転院先が見つかりやすくなるかもしれません」

夫はまだ60代前半。「介護保険なんて、もっと高齢になってから使うものでは」と思いましたが、専門家の勧めもあり申請することにしました。病院まで市役所の方が来てくださり、感染対策で家族は同席できず、ケースワーカーさんが代わりに立ち会ってくれました。

結果は「要介護4」。入院中だったので介護保険をすぐ使うことはありませんでしたが、「とりあえず取っておけば安心」と思っていました。

退院・在宅介護スタート後に知った「外来リハビリの壁」

その後、奇跡的に回復期の病院が見つかり転院。さらに自宅退院ができて、在宅介護が始まりました。ケアマネさんが丁寧にケアプランを立ててくれ、医療保険と介護保険を使い分けながら支援を受けることができました。

ところが、夫のリハビリのために近くの整形外科で外来リハビリを受けようとしたとき、こう言われたのです。

「介護保険を使っていると、うちではリハビリは受けられません」

介護保険を申請したことで、外来リハビリが受けられなくなっていました。

このとき初めて「介護保険を申請しなければよかったかも…」という後悔が生まれました。

これには制度上の理由があります。

介護保険では、リハビリは「介護保険の訪問リハビリ・通所リハビリ」で対応することが原則とされています。そのため、介護認定を受けていると医療保険での外来リハビリが制限される場合があります。

⚠️ 制度の適用は状況や自治体によって異なります。詳細は担当のケアマネや医療機関に確認してください。

64歳以下が知っておきたい「重度訪問介護」との関係

さらに調べていくと、障害福祉サービスの中に64歳まで利用できる「重度訪問介護」という制度があることを知りました。

重度訪問介護は、重度の肢体不自由や行動障害がある方に対して、長時間の介護・見守り・外出支援などを提供するサービスです。介護保険の訪問介護と比べて、より柔軟な支援が受けられる場合があります。

しかし、すでに介護認定を受けていると「介護保険が優先」となり、障害福祉サービスは一部しか申請できないとのことでした。

介護保険と障害福祉の優先関係:

状況優先される制度
介護認定を受けていない(64歳以下)障害福祉サービスを申請できる
介護認定を受けている介護保険が優先・障害福祉は一部のみ

在宅介護を続けるために障害福祉のサービスをうまく活用したいと思っていただけに、この制限はとてもショックでした。

⚠️ 制度の詳細・適用条件はお住まいの自治体によって異なります。必ず窓口にご確認ください。

申請を勧められたときに知っておきたかったこと

当時の私は介護保険に関する知識も経験もなく、「勧められたから」と従うしかありませんでした。でも今なら、申請前に以下のことを確認しておきたかったと思います。

① 年齢と使いたいサービスを整理する

64歳以下の場合、障害福祉サービスの対象になる可能性があります。介護保険を申請する前に、障害福祉で受けられるサービスも確認しておくことをおすすめします。

② 外来リハビリの継続希望を事前に伝える

外来リハビリを続けたい場合は、介護認定を申請する前に医師やケースワーカーに相談しておくと、対応策を一緒に考えてもらえる可能性があります。

③ 介護保険・障害福祉・医療保険の兼ね合いを確認する

それぞれの制度には優先関係があります。どの制度を使いたいかを整理した上で、申請のタイミングを検討することが大切です。

ただし、転院のために早めの申請が必要なケースもあります。「申請しない方がよい」というわけではなく、状況に応じた判断が必要です。

確認したいチェックリスト

✅ 申請者が64歳以下の場合、障害福祉サービスの対象になるか確認する

✅ 外来リハビリを希望する場合、介護認定との兼ね合いを医師・ケースワーカーに相談する

✅ 介護保険・障害福祉・医療保険それぞれで受けられるサービスを事前に整理する

✅ 転院のために介護認定が必要な場合は、その後の制度への影響も含めて相談する

✅ 「勧められたから」だけでなく、疑問に思ったことは窓口で確認してから申請する

✅ ケアマネ・ケースワーカー・市役所窓口など、複数の視点から情報を集める

さいごに

介護保険は、在宅介護を支える大切な制度です。でも、申請のタイミングによっては受けられる他の制度に影響することがあります。

「勧められたから」と素直に従った当時の自分を責めているわけではありません。あのとき転院のために必要な判断だったことも理解しています。

ただ、「こういうことがあるかもしれない」と事前に知っておくだけで、後悔の少ない選択につながることもあります。

今、介護が始まったばかりで不安の中にいる方が、少しでも安心できる選択ができますように。この記事が、その一助になれば嬉しいです。

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